「心の土台を育てる」子育て

褒めても作れない、子どもの自己肯定感の土台

2025年7月18日

自己肯定感が低くて苦労した人ほど、「子どもには同じ思いをさせたくない」と思うでしょう。

だから褒める。
否定しない。
失敗しないように先回りする。

「あなたはすごい」「あなたはできる」と伝え続ける。

それ自体は、愛情から来ているものです。
でも、そうやって育てた子どもが社会に出て、なぜかうまくいかない、というケースがあります。

自己肯定感を高めようとしたはずなのに、何かが違った。

その「何か」について、今日は考えてみます。

「自己評価を上げること」と「自己肯定感の土台」は、別の話

「自己評価を上げること」と「自己肯定感の土台」は、別の話

自己肯定感というと、「自分を好き」「自分に自信がある」というイメージを持つでしょう。

でも心理学的に言う自己肯定感の土台は、少し違うものを指しています。

土台は「自己評価の高さ」じゃない

本当の自己肯定感の土台というのは、「何があっても自分は大丈夫」という感覚のことです。

うまくいかなくても、失敗しても、誰かに否定されても、自分という存在が揺らがない。
そういう、内側からの安定感のこと。

これは、褒められることで育つものではないんです。

褒められることで育つのは、「自分はすごい」という自己評価です。
自己評価と土台は似ているようで、根っこが違います。

自己評価は、外側からの評価に依存しやすい。
だから、「すごいね」と言われ続けた環境から出たとき、急に根拠がなくなってしまいます

土台は、経験の積み重ねから育ちます。

やってみた、うまくいかなかった、それでも何とかなった。

その繰り返しが、「大丈夫」という感覚を少しずつ作っていくんです。

Kumi
Kumi
「褒めて育てる」って悪くないんだよね。

でも褒めるだけだと、褒められないと不安になる子になりやすいです。

土台って、もうちょっと地味なところで育つんだよな。

土台のない自己評価は、こんなふうに出てくる

身近にこういう人がいないでしょうか。

自信があるように見えるのに、やたら人をディスる。
会話の中にじわっとマウントが混ざってくる。
褒められると嬉しそうなのに、何か足りなそうにしている。

わたし自身、そういう人を見ていて「なんでこの人、自己肯定感高そうなのにこういうことするんだろう」とずっと疑問でした。

観察していてわかったのは、ディスやマウントって、自分の位置を確認するための行動だということ

「あの人より上」という比較で安心を得ようとしているんです。

これが、土台のない自己評価の出方です。

外からの「すごい」で自己評価は高くなった。
でも「何があっても大丈夫」という土台がないから、常に何かで埋めようとする。

物を買う、刺激を求める、誰かを下に見る。

満たされない感覚は、そこから来ていることが多いんです。

Kumi
Kumi
ディスやマウントって、傍から見るとしんどいんだけど、本人は満たされなくてやってるんですよね。

責める気にはなれないけど、距離は取りたくなります。

自己否定やジャッジの癖が気になる方はこちらの記事もどうぞ。

なぜ先回りすると、土台が育ちにくいのか

失敗しないように先回りする。
困る前に助ける。
傷つかないように守る。

これも愛情からくる行動です。

でも、土台を育てる機会を奪っていることになります。

土台の材料は、「自分でやった」「うまくいかなかったけど何とかなった」という経験です。

先回りされて育つと、失敗したときの対処法を学べません。

困難に当たったとき、「どうすればいいかわからない」だけでなく、「こんなはずじゃない」という感覚が先に来てしまう。

社会と家庭では、評価のされ方が違います

頑張っても「まあ当然でしょ」と扱われる場面がたくさんあります。
そのギャップを受け止める土台が育っていないと、折れやすくなってしまう。

Kumi
Kumi
先回りしたくなる気持ち、めちゃくちゃわかります。

でも「転ばぬ先の杖」が多すぎると、転び方を覚えられないままになってしまうんです。

土台を育てるために、親にできること

土台を育てるために、親にできること

では、どうすればいいのか。

難しいことじゃなくて、方向性を少し変えるだけでいいんです。

年齢に合った「失敗できる場」を作る

土台は、小さな失敗と回復の繰り返しで育ちます

大事なのは、「安全な失敗」を経験させること。
取り返しのつかない失敗ではなく、この年齢でできる範囲の挑戦をして、うまくいかなくて、でも何とかなった、という経験です。

小さい頃なら、自分でやりたいと言ったことをやらせてみる。
うまくできなくても、すぐ助けに入らない。
少し待って、自分で何とかしようとする時間を作る。

学齢期なら、友達とのトラブルをすぐ解決してあげない。
本人が考えて動く余白を残す。

失敗しても大丈夫だった、という経験が積み重なるほど、土台は厚くなっていきます。

Kumi
Kumi
「見守る」って、意外としんどいんですよね。

手を出したくなるのをぐっとこらえる、あの感じ。

でもそこが大事な場面だったりします。

子育てに関心がある方はこちらの記事もどうぞ。

「結果」より「プロセス」を見る

褒めるなということではないんです。

何を褒めるか、の話です。

「すごい、100点だった」より「最後まであきらめなかったね」
「うまくできたね」より「自分でやってみたんだね」。

結果ではなくプロセスを見ることで、「うまくいかなくても、やろうとした自分はOK」という感覚が育ちやすくなります

これが、土台につながる褒め方です。

自己肯定感の育て方が気になる方はこちらの記事もどうぞ。

親自身の土台を見直す

最後に、少しだけ難しい話をします。

子どもの土台を育てようとするとき、親自身の土台が揺れていると、どうしても先回りや過評価が増えやすくなります。

「この子に失敗させたくない」という気持ちの奥に、「失敗した自分はダメだ」という感覚が残っていると、子どもの失敗が自分のことのように怖くなる

子どもの自己肯定感の土台を育てることと、自分自身の土台を見直すことは、実はつながっています。

親自身が「何があっても大丈夫」と思えるほど、子どもの失敗を穏やかに見守れるようになります。

Kumi
Kumi
これ、自分を責める話じゃないです。

先回りしてきたのも、過評価してきたのも、愛情からだよ。

ただ、方向を少し変えられる、という話です。

土台は、あとから育てられる

子どもの自己肯定感の土台が育っていないと気づいたとき、責める必要はないんです。

褒めて育てたのも、先回りしてきたのも、愛情からだった。
ただ、方向を少し変えられる、というだけの話です。

土台は、何歳からでも育てられます

小さな失敗を経験させる。
プロセスを見る。
親自身が「大丈夫」と思える場所を作っていく。

その積み重ねが、じわじわと子どもの内側に「何があっても大丈夫」という感覚を育てていきます。

完璧な親でなくていい。

方向を知っているだけで、変わっていくものがあります。

  • この記事を書いた人

Kumi(板山 久美子)

恋愛・心理コミュニケーションライター/元カウンセラー パートナーシップや人間関係をテーマにしたメディアを複数運営。 カウンセラーとしての実務経験をもとに、心理学・自己理解・対人関係に関する記事を多数執筆。 アメブロでのカウンセラー活動時にはフォロワー1,500名・公式LINE60名の実績あり。

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